問いのたて方
・この夏起こった、動物に関する2つの悲しい出来事
・日本のマスコミは、何を伝えたか?
・事故なのか、それとも起こるべくして起こったことなのか?
以上のような問いを通して、「マスコミ」が伝えるべきこと
を提唱したいと思います。
今年になってから幾つかメディアに登場する動物達の悲惨な事故が起こっている。
■ジッペイと6頭の仲間(兄弟)の死。
某テレビ番組にマスコット的に登場していたジッペイという犬が猛暑の中、
その仲間たちと車の中で死んでしまった事故は、まだ視聴者の記憶に残っているであろう。
夏季には、どの動物病院でも熱中症の患者が多数担ぎ込まれるようになる。
そのため獣医師会や愛護団体等では、注意を促す啓蒙ポスターやパンフなどで
飼い主たちの教育を熱心にやっているのである。
しかし今回の事故を起こしたのは、一般の飼い主、素人ではない。
犬をテレビ番組に提供している者であり、いわば仕事の一環として犬を使用している者である。
テレビに出すこと自体を批判するつもりはないが、何も考えずに子犬を衝動的に買ってしまった
飼い主などと比べたら、飼養管理の質のレベルが明らかに高くてはならないはずである。
クーラーは入れていたのであるが、何かの不具合で途中で切れてしまうという事故が起こったので
仕方がなかったと言われてはいるが、果たして本当にそうであろうか。
どのような事情であれ、猛暑の中を複数の動物を車の中に置いたままその場を離れた時点で、
すでに飼養管理意識に問題があったと言えるのではなかろうか。
確かに、時にはどうしても動物を移動させる必要があり、時間帯を選ぶことが不可能である場合もあろう。
また同じ生き物である人間が、自然現象などで車を降りなくてはならぬこともあろう。
しからば事前にトラブルを想定して2人態勢で搬送を行えば問題は解決するではないか。
生き物、命を扱うのであれば、そのような事前の準備は当たり前のことである。
仕事であるからこそ、より厳重に計画を立てるのは当たり前のことであろう。
今回の事件は事故ではなく人災である。
このような視点でのメディア報道は皆無である。
■タレントチンパンジ―、人を咬む
もうひとつ残念な事件がある。
これもやはり人気テレビ番組に登場していたチンパンジーが、人を襲いひどい怪我を負わせてしまったという事故である。
しかしこのチンパンジーの飼育者は、2005年ごろから種の保存法の違反をしているのではないかという点を
日本動物園水族館協会及び環境省に指摘されてきた。
これは当時のメディアでも取り上げられていたが、そのチンパンジーの飼育団体は公益社団法人日本動物園水族館協会を
退会してしまい、事はそのままになってしまった。
本来ワシントン条約のリストに載っているチンパンジーは、繁殖目的以外で譲渡されることはないはずなのであるが、
明らかに問題となっているチンパンジーは、ショーのみに集中的に使用されていることが指摘されていた。
米国でも、何年か前にチンパンジーが、飼育者のもとを訪れた第3者に襲い掛かり重傷を負わせた事件が起きている。
チンパンジーは、テレビの画面で偽りの姿が披露されているが、本来は200キロ以上の握力を有する猛獣であり、
人間を含む他の動物を襲っても決して不思議ではない。
自然の中では、小型のサルなどを襲いその肉を食す行動も観測されている。
性成熟を迎えた雄の猛獣が、何かのきっかけで他者に襲い掛かった時には、人間はそれを止めることができないのである。
よって、この「事故」は十分に予測できたものであろう。そのようなことが起こらないように、
しっかりとしたセーフガードが設けられていなかったのである。
これもまた一般の飼育者よりも動物を知りより高度な飼養管理技術を持つはずの専門家のもとで起こった事件である。
何よりも疑問に感じることは、このチンパンジーをさんざんもてはやしていたメディア自体が、
突っ込んだコメントも取材もしていないという点であろう。
イケメンタレントが誰かを殴った、などとなればすべてのワイドショー、スポーツ新聞等々が声高らかに
取り上げるであろうに、今回は本当に報道の数が少なく不気味さを感じずにはいられない。
またチンパンジーの共演者である自称「動物好き」の芸人もだんまり状態である。
言うまでもなく、所有者である動物施設も何もコメントを出していない。
直接動物の管理に関わっていたトレーナーも何も言ってはいない。
真の被害者は、チンパンジーであろう。
「ドクターヘリを飛ばさなければならないほどの大怪我を負わせた」等々と言われている。
彼の立場を世間に対して弁護してくれる「友達」が、
実は長年付き合っていた(付き合わされていた)人間の中にいるはずなのに一人もいないことが判明したのだ…。
【参考情報】
■チンパンジーのえげつなさ 「古世界の住人」様 ブログ
~ いじめ・子殺し・残虐行為 → こちら から
■You Tube 映像 (海外のニュースから)
チンパンジーに襲われた女性(閲覧注意ー画像の刺激が強いため) → こちら から
<事故概要>
事故が起こったのは2009年2月の、ナッシュ(被害者)が友人のサンドラ・エロールの家を訪れていたときのこと。
とつぜんナッシュに襲いかかったトラヴィス(チンパンジー)は彼女の顔面に攻撃をくわえました。
トラヴィスは狂ったようにナッシュを襲い続け、その攻撃は12分間にも及んだといいます。
トラヴィスを止められなかったエロールは泣きながら警察に電話。 銃で撃ってくれるよう頼み、
結果トラヴィスはその場で射殺されました。
現場は惨憺たるもので、トラヴィスの毛と埃が舞った室内には、床にまるで挽肉器にかけられたような
彼女の指が散乱し、ナッシュの上あごと鼻はむしられ、 顔面にはトラヴィスの抜けた歯が食い込んでいるという
凄まじさだったそうです。
その後の調べで、トラヴィス(チンパンジー)は前日の午前中から気が立っている様子だったので、
エロールが抗不安薬であるザナックスをお茶に混ぜてトラヴィスに与えていたことが判明。
人間でも服用すれば、記憶喪失、協調性の欠如、性欲の抑制などが副作用として起こる場合があるザナックスが、
トラヴィスの抱えていた不安を攻撃に転じた可能性が 報じられました。