動物愛護法改正に伴う声明文(2019.7)

 動物の愛護及び管理に関する法律の一部改正の法案が国会で可決され、令和元年6月19日に公布されました。これに関して動物との共生を考える連絡会はその内容を評価すると同時に、今後さらに手を入れていく必要のある課題に取り組んでいく姿勢を再確認いたしました。

 

 幼齢の犬猫販売の8週令規制に関しては長年多くの動物保護団体が求めてきたことでもあり、それがようやく実現したということは喜ばしい限りです。しかし一部日本犬種に関する例外的扱いには違和感を感じざるを得ないと考えます。環境ガイドラインまたマイクロチップの装着義務に関しては今後どのようにそれが遵守されて行くのかを見据えていく必要があるでしょう。

 虐待行為の厳罰化は一見歓迎するべき事柄のように思えますが、虐待のさらなる定義をはっきりさせると同時に、実質的な取り締まり方法の円滑化が行われなければ絵に描いた餅になってしまう可能性もあるのではないでしょうか。法改正が実質的な結果につながることを期待し今後の展開をしっかりと注目していきたいと考えております。

 

 今回の法律改正に向かい「動物との共生を考える連絡会」は、様々な広報活動の中で同法律がペット法から脱却するべきであることを主張し続けてきました。実験動物、産業動物、そして展示動物の分野が取り残された状態になっていることを指摘し、全ての動物を守ることができる動物福祉法の必要性を訴えてきました。

 

 実験動物の分野に関しては『ヒューメイン・ソサイエティー・インターナショナル(Humane Society International、HSI)』という国際団体と歩調を合わせて世界の情勢に見合った扱いを、と主張してきました。同団体からもコメントが届いています。

" 動物愛護法のもと、実験動物について引き続き検討する旨が附則に含まれたことをHSIは歓迎いたします。世界各国において、動物実験から動物を使わない最新の方法への移行が着実に進んでいます。この世界的動向に日本も積極的に参画し続けることができるように、この課題に対する日本国内での議論が継続されることを願っています。" (Humane Society International)

 

 残念なことに今回の改正は全てペット動物に関わることにとどまっています。次回の法改正に向かい、あらゆる動物の福祉を保証できる内容を今後とも求めていく事が我々の使命であると考えております。