代表 青木貢一の文章を各項目ごとにまとめたものが
下記の通りとなります。
■ 猪名部神社 (4/4-5 現地視察調査 実施 終了)
4月4日(土) 1頭の馬が人馬転倒を起こした際に、起立不可能となり、瞳孔が開いている
状態を獣医師が確認後、安楽死となった
●現地からの報告
雨天のため、走路と上げ坂は湿って滑りやすかった。
(上げ馬の開始時は天気も良く暑かったが、途中から降雨とともに
気温が急激に低下した。)
上げ坂で転倒して意識喪失し起立不能に陥った馬に対する安楽殺は
すんなり行われなかった感があります。
10頭中4頭成功。5日は、降雨と寒い中5頭中3頭成功。
■ 多度大社 (5/4-5 現地視察調査 実施 終了)
5月4日 雨天の中行われた祭事において、12頭のうち1頭も成功者がでず。
馬も乗り子も、足場の悪い状態で、急坂を登ることの危険さが露見。
●現地からの報告
5月4日12頭中全頭が失敗。
10頭目は、騎乗に手間取りやっとスタートしたが途中でUターンし
騎手落馬、再騎乗を試みるが馬が大暴れして何度も落馬を繰り返した
ために、騎手も馬も交換して行った。
11頭目は、走路途中で鞍がずれて落馬。
5月5日は、2頭が成功した。
垂直壁で騎手が投げ出され馬は横転、垂直壁に激突して落馬し、
馬は横転した。
2日間で18頭中たった2頭しか成功しなかったことは、
馬に対して過度な要求(酷使)をしていることになるであろう。
≪当会の主張≫
●動物愛護管理法の改正で、動物虐待の定義に「酷使」が追加され、
上げ馬神事における、高すぎる垂直壁に挑ませることは問題がある、と当会は考えます。
【参考】
動物の愛護及び管理に関する法律 (第6章 罰則 第44条 第2項)原文はこちら
第四十四条 愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、二年以下の懲役又は
二百万円以下の罰金に処する。
2 愛護動物に対し、みだりに、給餌若しくは給水をやめ、酷使し、
又はその健康及び安全を保持することが困難な場所に拘束することにより
衰弱させること、自己の飼養し、又は保管する愛護動物であつて疾病
にかかり、又は負傷したものの適切な保護を行わないこと、
排せつ物の堆積した施設又は他の愛護動物の死体が放置された施設であつて
自己の管理するものにおいて飼養し、又は保管することその他の虐待を
行つた者は、百万円以下の罰金に処する。
■ 猪名部神社 (4/5-6 現地視察調査 実施 終了)
■ 多度大社 (5/4-5 現地視察調査 実施 終了)
2014年 8月 以下の関係機関に 改善の申し入れ文書を送付(回答なし)
多度大社 (本祭典を主催する寺社)
猪名部神社 (本祭典を主催する寺社)
三重県教育委員会 ( 県の無形文化財を管轄する機関につき )
三重県健康福祉部食品安全課 (動物愛護に関する担当部署)
三重県警 (動物愛護法 違反に関する 担当部署)
桑名警察署 (動物愛護法 違反に関する 担当部署)
いなべ警察署 (動物愛護法 違反に関する 担当部署)
改善申し入れポイントは
①「動物の愛護および管理に関する法律」において、動物虐待が定義されており
本祭典における「急傾斜で、高さが国際的水準を超える」登坂の坂を登らせる
ことが、【動物の酷使(虐待)】に当たると思われる点。
② 実際に現場では、いまだに馬に対する暴力行為(蹴る・水をかける)が散見される。
■ 猪名部神社 (4/6-7 現地視察調査 実施 終了)
■ 多度大社 (5/4-5 現地視察調査 実施 終了)
■自主的な取り組み
今年は、騎手、祭礼関係者、観客、祭馬にとって「安全な神事」とするための
厳守事項が定められたとのこと。
特に警察側から関係者あてに強い指示があったとのこと。
(関係者が、現地で視察した当会スタッフに伝えた内容より)
■上げ馬とマスコミ(2012年)
NHKとメ―テレのテレビ報道が、例年なら上げ馬成功を正面からとらえた画像を放映していたが、
今年はこの場面の他に、反対側から壁に向かって撮影し、両社ともが、上げ馬に失敗した馬が
仰向け気味に転倒し、騎手も転げ落ちて巻き込まれそうな危険な場面を放映した。
後日、BS日テレ(「キズナのチカラ」)は、選ばれた一人の騎手を対象に、
上げ馬本番までを取材して放映した。
この中で上げ馬に成功した時に、この騎手が投げ飛ばされた場面があった。
■三重県が「上げ馬神事」に関しての見解を述べている部分
三重県庁 ホームページ 「県民の声を受けて」より こちら
改善された点
◎当事者の取り組み
三重県全体で、上げ馬神事が、馬への虐待をなくし無形民俗文化財としてふさわしい祭りにするための対応が認められた(2012年以降)
その結果、両神社で馬への直接的な激しい暴力(虐待)が、明らかに減少したようだが、
2014年ぐらいから、また、軽度ではあるが「馬に対する暴力行動」は散見される。
◎飲酒の件
明らかに飲酒して酔っぱらっている未成年者と思われる青年がいなくなった。
さらに、大人の酔っぱらいも減っていた。
◎駆け上がる壁の件
猪名部神社では、坂上の垂直(90°)だった壁を傾斜(約75°)させたが、
高さは変わっていない。
しかし、この修正で馬が仰向けに転倒することが減ると思われるので、安全に向けて
一歩前進したものと評価しています。
残る問題点
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●動物愛護管理法の改正で、動物虐待の定義に「酷使」が追加され、
上げ馬神事における、高すぎる垂直壁に挑ませることは問題がある、と当会は考える。
【参考】
動物の愛護及び管理に関する法律 (第6章 罰則 第44条 第2項)
第四十四条 愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、二年以下の懲役又は
二百万円以下の罰金に処する。
2 愛護動物に対し、みだりに、給餌若しくは給水をやめ、酷使し、
又はその健康及び安全を保持することが困難な場所に拘束することにより
衰弱させること、自己の飼養し、又は保管する愛護動物であつて疾病
にかかり、又は負傷したものの適切な保護を行わないこと、
排せつ物の堆積した施設又は他の愛護動物の死体が放置された施設であつて
自己の管理するものにおいて飼養し、又は保管することその他の虐待を
行つた者は、百万円以下の罰金に処する。
●馬に対する直接的な暴力はなくなったが、馬の前で大声で怒鳴る、腕、ロープ、
法被等を振り回して威嚇する、水をいきなり腹部に掛ける、小石や砂を投げつける、
長鞭を振り回す、などを行い、馬に恐怖心や不安感を抱かせて過度に興奮させる
行為が認められた。
その結果、馬が暴れ、立ち上がったり、跳ねたり、蹴ったりしたものが多く見られた。
●残念ながら、猪名部神社では、繰り返し馬の腹部を殴ったり、蹴ったりして虐待
した者がいた。
●未成年の若者が騎手に選ばれ、たった1ヵ月間の乗馬の稽古だけで、否応もなく
本番に挑まされている。馬を制御できない未熟な騎手が馬に跨るのだから、
騎乗時に馬を落ち着かせるべきなのに、逆に興奮させて馬を暴れさせるので、
落馬が多かった。今年は、それ以外でも、落馬、人馬転が多く認められ、
中には非常に危険な場面があり、避けられたのは運が良かったと言える。
●今年は幸いにも事故馬が発生しなかったが、この数年、馬が重度の障害を負って
予後不良で、安楽殺されているにもかかわらず、県教育委員会・文化財保護審議会は、
単なる事故でやむを得ないとして不問にした。
犠牲になった馬がどのくらいいたのか、調査もなく統計すらない。
犠牲になった馬達が哀れであり、馬の犠牲をこれ以上出さないために、何らかの対策を
講ずるべきであろう。
●故障した馬の取扱いは、無理矢理歩かせること、生きたままロープで馬を吊り上げて
トラックに乗せることなどは、苦痛に喘ぐ馬を更なる苦難に陥らせることになるので、
虐待的行為と言える。
故障した馬の搬送は、クレーン付きトラックを待機させるのではなく、走路に入れる
馬運車を用意して、事故馬のもとに行って、馬を乗せるべきである。
●諸悪の根源と言えるものは、坂上に築かれた壁であり、その高さと角度が問題である
ことは言うまでもない。壁の高さが、国際馬術界が定めている固定障害物の高さ
(1.2mが国際標準)を大きく逸脱して1.7~2.0mになっている。
この国際標準は、上り坂の上に築かれる固定障害物を考慮したものではなく、
ほぼ平らな地面での障害物の高さを規定したものである。さらにこれに加えて、
途中から反り返った逆傾斜(オーバーハング)や垂直な壁は、極めて危険なもの
と言え、仰向けの転倒、転倒した馬が坂を転げ落ちるときなどで巻き込まれる可能性が
ある危険な構造となっている。
未成年の騎手と坂に並ぶ青少年達の安全のために、自主的に壁の高さを低くし、
壁を傾斜させる(猪名部神社は傾斜させた)ことを、切に願うものです。
年次 | 視察状況 | 内容 |
2008年 (平成20年) |
猪名部 |
馬が頭から壁に激突して鼻骨を骨折したためか、 大量の出血が両鼻孔から滴り落ち、足元の地面が 血の海になった。 観衆が注目しているにもかかわらず、 そのまま馬繋ぎ場に繋留し続けた。 (獣医師は、治療困難で、すぐに移動させるよう 指示していた) |
多度 |
上げ馬を失敗した馬が、騎手を乗せたまま走路を 逆に疾走し、観光客と関係者が巻き込まれ5名が 重軽傷を負った大きな事故 が起こった。 |
|
2009年 (平成21年) |
猪名部 |
右前肢の中手骨を骨折し跛行している馬を、 田圃の中の道路に停車している馬運車まで、 数百メーターも歩かせた(虐待)。 他に、祭り関係者が、上げ馬に成功した馬に 蹴られ頭蓋骨を骨折したが、命に別条がなく幸いでした。 |
多度 |
祭り当日ではないが、騎手が決まって乗馬の稽古中に 放馬し、その馬が走行中の自動車に衝突して死んだ、 と地元の人から聞いた。 |
|
2010年 (平成22年) |
猪名部 |
一頭が、上げ坂にさしかかった時、馬が前のめりに 頭から転倒し、騎手は前方に投げ飛ばされた。 馬は、全く微動もせずにそのまま息絶えた。 この即死は、頚椎損傷によるものであった。 死馬を搬出するために、クレーン付きのトラックが 走路に入り、ブルーシートで覆われた死体を ロープで吊り上げトラックに乗せて搬出した。 投げ飛ばされた騎手は、幸いにも打撲を負った程度であった。 |
多度 |
一頭の馬が、壁に激突した時に大腿骨を骨折して起立困難に 陥った。苦痛に喘ぎ横たわったままの馬の尻尾を持って 起たせようとした。 あろうことか、関係者の一人が馬の耳に水を注ぎ込んだ。 転倒馬を無理矢理立たせて参道から神社脇の道路まで、 大観衆の見守る中無理矢理歩かせた(虐待)。 その後、ブルーシートで囲い直接見られないようにしてから、 クレーンで生きたままロープで吊り上げ(究極の虐待) トラックに乗せた。 そして、神社から少し離れた小道に移動してから 獣医師が呼ばれ、予後不良でその場で安楽殺された。 |
|
2011年 (平成23年) |
猪名部 |
一頭が、壁に激突して転倒し、数分後やっと起立したが、 歩行困難な様子であった。苦痛に喘いでいる馬を、 走路から馬場入り口付近まで数百メーターも無理矢理 歩かせた(虐待)。 ついに力尽きその場に倒れ込み起立不能になった。 その場に獣医師が呼ばれ、肩甲骨の骨折との診断で、 予後不良で安楽殺された。 一部関係者による馬への威嚇的な行為が認められた。 |
多度 | 残念ながら、一部関係者による馬への威嚇的行為が認められた。 | |
2012年 (平成24年) |
猪名部 |
一人の騎手が坂の途中で転倒した時に投げ出され、
馬への直接的暴力は、さらに減っていた。 |
多度 |
馬への暴力は殆どなくなり、問題はほんのわずかであった。
馬への暴力をなくそうとする意志が強く感じられ、
残念ながら、壁が垂直のままで、高さも高いままのため、
騎手が乗馬してスタートする前後、上げ馬本番、 |
|
2013年 (平成25年) |
猪名部 |
おびえ、興奮して落ち着かない馬に対し、 馬の額をこぶしで殴る、という行為があった。(1日目) 馬をコントロールするために、馬の左耳を力いっぱい 握り、不必要な痛みを与える行為が見られた。
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2014年 (平成26年) |
猪名部 |
おびえ、興奮している馬に対し、バケツ一杯の水を ぶっかける行為がみられる。 馬の胴体・急所近くを蹴り上げる行為が少なくても 2回見られた。
|
多度 |
上げ馬神事でのケガが原因で2頭の馬が安楽死 させられた。
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2015年 (平成27年)
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猪名部 |
4/4 出走10頭 成功4頭 4/5 出走5頭 成功3頭
ケガが原因で1頭の馬が安楽死(4日) 馬に水をかける、手に束ねて持った短めのロープで、 複数回、出走前の馬の体をきつく叩き続ける行為がみられる。
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多度 |
5/4 出走12頭 すべてが失敗 5/5 6頭中 2頭のみが成功
特に初日は雨の影響で、足場も悪く、馬にも乗り子にも 大変危険な状況の中、本祭典が行われていた。 |
年次 | 取り組み |
2009年 (平成21年)
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2009年5月
これまでの数年間、馬に対する暴力がエスカレートしている |
2009年12月24日 三重県桑名警察署宛て【 告発 】と【 不受理 】
多度大社の上げ馬神事で、馬に対する激しい暴力行為(虐待)を
この告発は、三重県のNPO法人「人と動物との共生をめざす会」と |
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2010年 (平成22年) |
上げ馬神事の改善を求めて「虐待のない上げ馬神事へ」のビラを
告発ビデオ等を事前に三重県の関係者に見てもらった。
猪名部神社では、垂直であった壁を傾斜(約75°)させた
両神社の上げ馬神事では、文化財保護審議会の調査が
事前通告されたために、馬に対する直接的な激しい暴力は
5月28日 三重県桑名警察署 【 告発受理と捜査開始 】
前年の暮れに告発した件が、正式に受理されることになり、
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2011年 (平成23年) |
1月 文化財保護審議会は、今年も上げ馬神事を調査すると 両神社側に通告
2月25日 【 書類送検 】
10月31日付 【 不起訴 】
三重県津地方検察庁四日市支部から、告発した事件に
対する処分通知書が送付された。
■司法の見解 - 動愛法に「具体的な虐待の定義」がない
後日、津地方検察庁に出向き、担当検察官から不起訴にした
不起訴にした主な理由は、
○動物愛護管理法に、殴る、蹴る、精神的に追い詰めるなどの ○その暴力行為によって、馬に異常が認められない ○この暴力的行為に対して、他の人から告発がない ○一般の人は虐待と思っていない、などであった。
我々は、検察の判断を仰ぐために告発したのではなく、 裁判所の判断がいかなるものかを知りたくて告発したもので ある旨を伝え、決定が覆ることがないのを承知しながらも 不満を申し述べた。 |
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